八撥(読み)やつばち

精選版 日本国語大辞典 「八撥」の意味・読み・例文・類語

やつ‐ばち【八撥】

〘名〙
羯鼓(かっこ)別称
謡曲・花月(1423頃)「いつものやうに八撥をおん打ち候ひて皆人におん見せ候へ」
② 羯鼓を首から胸にさげて、打ちながら踊る遊芸中世、巷間芸能として行なわれた。
※謡曲・丹後物狂(1430頃)「簓(ささら)八撥なんどと申すことは、あの鉾のもと囃す京童の芸でこそ候へ」
太鼓などの曲打ちをすること。
※俳諧・鷹筑波(1638)二「八ばちをうちて踊れや十六夜正平〉」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の八撥の言及

【羯鼓】より

…胸に羯鼓をつけることは《梁塵秘抄口伝集》巻十四に1154年(久寿1),京都紫野社(今宮神社)の〈やすらい花〉で乱舞のまねをする童子のかっこうとして記される。放下(ほうか)とよばれる中世の遊芸者による羯鼓の芸は八撥(やつばち)ともいい,簓(ささら)やコキリコとともに演じられ,祇園会の囃子にも使われたらしい。能では喝食(かつしき)や放下僧の役が羯鼓とよぶ小さな筒形の鼓を腹につけて桴で打って舞う。…

※「八撥」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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