十六夜(読み)ジュウロクヤ

デジタル大辞泉 「十六夜」の意味・読み・例文・類語

じゅうろく‐や〔ジフロク‐〕【十六夜】

陰暦8月16日の夜。また、その夜の月。いざよい既望きぼう 秋》
[類語]月夜おぼろ月夜朧夜夕月夜星月夜雪月夜宵月夜薄月夜十三夜十五夜

いざよい〔いざよひ〕【十夜/猶予】

《動詞「いざよう」の連用形から。上代は「いさよい」》
(十六夜)
十六夜の月のこと。 秋》「―もまだ更科こほりかな/芭蕉
㋑陰暦16日。また、その夜。
猶予)進もうとして進まないこと。ためらい。躊躇ちゅうちょ
「君や来む我や行かむの―にまき板戸もささず寝にけり」〈古今・恋四〉
[補説]曲名別項。→十六夜

いざよい【十六夜】[歌舞伎舞踊]

歌舞伎舞踊清元本名題梅柳中宵月うめやなぎなかもよいづき」。河竹黙阿弥作詞、清元お葉作曲。安政6年(1859)江戸市村座初演。「小袖曽我薊色縫こそでそがあざみのいろぬい」の中で、十六夜・清心道行に用いた。

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精選版 日本国語大辞典 「十六夜」の意味・読み・例文・類語

じゅうろく‐や ジフロク‥【十六夜】

〘名〙 陰暦一六日の夜。特に陰暦八月一六日の夜をいう。また、その夜の月。いざよい。いざよいの月。既望(きぼう)。《季・秋》
俳諧・犬子集(1633)五「寺にうつる月は羅漢か十六夜〈長吉〉」

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「十六夜」の意味・わかりやすい解説

十六夜
いざよい

陰暦16日、またその夜をいい、十六夜の月の略称としても用いられる。古くは、「山の端(は)に不知夜歴(いさよふ)月を出でむかと待ちつつ居(を)るに夜そふけにける」(『万葉集』7、作者不詳)のように、「いさよひ」と澄んで読んだ。満月(十五夜)の翌晩の月は出がやや遅れぎみになるところから、いざよひ(停滞する)の名が出たというが、山の端に差し出ることをいうとの説もある。限定的には、とくに中秋名月のあとの陰暦8月16日の月をいい、和歌や俳諧(はいかい)に多く詠まれている。

[宇田敏彦]

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歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典 「十六夜」の解説

十六夜
(通称)
いざよい

歌舞伎浄瑠璃外題
元の外題
梅柳中宵月
初演
安政6.2(江戸・市村座)

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