八雲立(読み)やくもたつ

精選版 日本国語大辞典 「八雲立」の意味・読み・例文・類語

やくも‐たつ【八雲立】

  1. 多くの雲がたちのぼる意で、地名出雲(いずも)」にかかる。本来は「出雲」の地名起源に結びついた、土地讚美のほめことば的なもの。やくもさす。やつめさす。
    1. [初出の実例]「茲(こ)大神、初め須賀の宮を作らしし時に、其地より雲立ち騰(のぼ)りき、かれ御歌作(よ)みしたまひき、其の歌は、夜久毛多都(ヤクモタツ) 出雲(いづも)八重垣 妻籠(ご)みに 八重垣作る その八重垣を」(出典:古事記(712)上・歌謡)
    2. 「椰勾毛多菟(ヤクモタツ) 出雲梟師(いづもたける)が 佩(は)ける太刀(たち) 黒葛(つづら)さは巻き さ身無しにあはれ」(出典:日本書紀(720)崇神六〇年七月・歌謡)

八雲立の語誌

( 1 )「雲」は霊魂や生命力が生起する象徴であり、「八雲立つ」は国土の生命力が盛んに生起する意味として、「出雲」に冠されたものと考えられる。
( 2 )挙例の「書紀」の歌謡は、「古事記‐上」では「夜都米佐須(やつめさす)出雲建が佩ける太刀」となっている。→「やつめさす」の補注

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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