公共選択論(読み)こうきょうせんたくろん(その他表記)public choice theory

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「公共選択論」の意味・わかりやすい解説

公共選択論
こうきょうせんたくろん
public choice theory

政治的な現実や,社会の分析に経済学的手法を用いて体系化した学説。そこでは「人間は自己利益を最大化することを目的として合理的に行動する」ものであり,社会はそうした利己的人間から構成されるとする。このような考えを,経済現象だけではなく官僚制政党制選挙民主主義などに適用した。公共選択論の中心は選択にあり,人間はさまざまな意見利害をもっているにもかかわらず,社会の決定は一つしか存在しないからである。公共選択学派の代表はノーベル賞を受賞した経済学者の J.M.ブキャナン,G.タロックなどである。

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世界大百科事典(旧版)内の公共選択論の言及

【財政学】より

…しかし,公共経済学では民主主義的な政策決定のプロセスが真正面から取り上げられる。この点で〈公共選択論〉という新分野は公共経済学の中核を形成しつつある,(3)従来の経済学では政治体制が独裁制か民主制かを問わないが,公共経済学の場合は〈議会制民主主義国家における〉という限定詞がつけられる。そこでは官僚制や各種利益団体の演ずる役割も分析の対象とされる,(4)公共経済学が形成されるとき〈財政学を父とし厚生経済学を母とする〉といわれたように,〈市場の失敗〉を含む各種の問題解決に当たり規範分析としての厚生経済学の貢献を評価しようとする。…

※「公共選択論」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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