公定力(読み)こうていりょく

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「公定力」の意味・わかりやすい解説

公定力
こうていりょく

行政行為に認められる力で,たとえ瑕疵があってもその瑕疵が無効事由に該当しないかぎり,正式に取消されるまではかりに有効なものとして扱い,なんぴともこれに従うべきことを要求する力。このような力を認める根拠として,行政行為は権威ある組織が法律に従ってなす行為であり,裁判判決に類比すべきものであることがかつてあげられていた。しかし,今日では社会的危険の除去などの公益実現の機能が妨げられることなく,行政法関係の安定性を保障するうえで必要であるとの主張がなされることが多い。しかし,実定法上の根拠としては,行政行為の違法=取消しを主張するには,一定の期間内に行政上の不服申立てか取消し訴訟によらねばならないとされている (行政不服審査法行政事件訴訟法) ことがあげられているのみである。行政行為の瑕疵が重大かつ明白な場合には,公定力は認められない。これを無効な行政行為という。

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世界大百科事典(旧版)内の公定力の言及

【行政行為】より

…法令が行政行為の要件および内容を完結的に,しかも一義的な文言で定めている場合には,これを〈羈束(きそく)行為〉と呼び,そうでないものを〈裁量行為〉と呼ぶことがある。
[行政行為の瑕疵と行政行為の公定力]
 行政行為が,本来あるべき態様を逸脱してなされた場合に,その行政行為には〈瑕疵(かし)〉があるという。これには,〈違法の瑕疵〉と〈不当の瑕疵〉の二つが区別される。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」