…三途の川を渡るとき,着衣をはぎ取られるという考えが中世にあったのは,《義経記》に〈さんづの河をわたるこそ,着たる物を剝がるるなれ〉と記されていることからもわかる。のちに,この三途の川を渡る渡し賃をもたない亡者がくれば,奪衣婆がその着衣をはぎ取ってしまうと考えられ,死者に渡し賃として六文銭をもたせる習俗が生まれた。頭陀袋のなかに一文銭を6個入れたり,最近でも紙片に六文銭を描いて亡者にもたせる葬送儀礼が行われているが,これは三途の川を無事に渡らせたいとする思いから出たものである。…
※「六文銭」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」