共鳴蛍光(読み)キョウメイケイコウ

化学辞典 第2版 「共鳴蛍光」の解説

共鳴蛍光
キョウメイケイコウ
resonance fluorescence

基底状態から,光の吸収で直接遷移可能な励起状態からの蛍光.たとえば,水素原子の12sから22pへの遷移はLyman-αで起こるが,22p状態は10 ns 程度の寿命でLyman-αの共鳴蛍光を放射して12sへ遷移する.発光測定は吸収法などに比べると感度が高いので,基底状態にある原子の相対濃度を測定するにはすぐれた方法となっている.1 cm3 中106 個の原子があれば測定できる.HをはじめO,Sなどの濃度測定に用いられている.OH遊離基の濃度測定に,OHの励起状態からの300 nm 付近の発光を照射し,OHの蛍光を測定している例がある.原子の濃度測定と似ているので,共鳴蛍光とよばれている.最近は,波長可変色素レーザーにより,蛍光を誘起して遊離基や準安定原子の濃度測定が行われている.このようなレーザー誘起蛍光は,アカデミックな研究ばかりでなく,たとえば,光化学スモッグの研究にも広い応用面をもっている.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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