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基底状態 きていじょうたいground state

翻訳|ground state

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

基底状態
きていじょうたい
ground state

量子力学的な系の安定状態のうち,エネルギーが最低の状態を基底状態,これ以上のエネルギーをもつ状態を励起状態という。ボーアの原子理論では,基底状態の水素原子電子軌道半径は最小になる。

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デジタル大辞泉の解説

きてい‐じょうたい〔‐ジヤウタイ〕【基底状態】

原子あるいは分子などがとりうるエネルギーの最も低い状態。外からエネルギーが入れば励起状態となりうる。

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世界大百科事典 第2版の解説

きていじょうたい【基底状態 ground state】

主として量子力学的な系について全エネルギー(運動エネルギー+位置エネルギー)が最低の状態をいう。古典力学的には,ポテンシャルが有限の深さである場合のほか基底状態は存在しない。例えば水素原子では,陽子のまわりに円軌道を描いて公転する電子の位置エネルギーは軌道半径を0に近づければ-∞にいき,電子の全エネルギーも-∞にいく。すなわち基底状態は存在しない。そして,公転する電子は古典電磁気学によれば電磁放射を出してエネルギーを失い続けるので,水素原子はやがて(10-11秒ほど)つぶれてしまうことになる。

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大辞林 第三版の解説

きていじょうたい【基底状態】

ある量子力学的な系の定常状態のうちで、エネルギーが最も低く、安定な状態。 ⇔ 励起状態

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

基底状態
きていじょうたい

原子や原子核などを構成する粒子や場のシステム(系)、すなわち量子力学系のエネルギーはさまざまな値をとるが、このうちエネルギー値のいちばん低い状態をその力学系の基底状態という。基底状態より高いエネルギーの状態は励起状態という。
 原子、分子、原子核、素粒子などの力学系は量子力学に従っており、そのエネルギー値には下限がある。これに対してマクロの運動(古典力学的運動)をしている力学系の多くは、どのような低いエネルギー値をもとることができる。振り子の振動ではエネルギー最小の状態すなわち静止の状態があるが、運動状態としてあまり意味をもっていない。このため、量子力学に従って運動する力学系の場合のエネルギー最低の状態を、基底状態とよぶのが普通である。エネルギーが最低の状態が複数個あって、これらの状態が他の物理量、たとえば角運動量の値を異にすることがある。この場合力学系は複数の基底状態を有している。
 基底状態は状態として安定である。たとえば、中性子と陽子で構成されている原子核重陽子の基底状態は、これらの2個の核子が離れて存在するときよりも約2200万電子ボルト低いエネルギーをもち、角運動量の向きが異なる三つの状態がある。これに対し、電子のかわりにμ(ミュー)中間子の入った原子は、これらの中間子が崩壊吸収されるまでの間、類似原子として存在する。したがって、この場合基底状態が安定に存在する時間は有限である。[田中 一]

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世界大百科事典内の基底状態の言及

【エネルギー準位】より

…定常状態を単にエネルギー準位という場合もある。最低のエネルギー準位に対応する状態を基底状態,それより高いエネルギーの状態を励起状態という。励起状態はある平均寿命で下の状態に遷移するので,準位は不確定性原理による幅をもつ。…

【原子】より


[量子力学による水素原子の理論]
 水素原子の定常状態の波動関数とそのエネルギーとは,量子力学によって正確に求まり,このようにして定まる水素原子のエネルギー準位は,ボーアの原子模型で求められたエネルギー準位と正確に一致する。水素原子の基底状態(もっともエネルギーの低い定常状態)は後に述べる理由で1s状態と呼ばれ,その波動関数は,時刻tに依存する因子exp{-iEt/ħ}を除いて,と表される。ただし,は原点(陽子の位置)からの距離を表す。…

【変分原理】より

…ここでψは固有状態に対応する波動関数,Eはエネルギー固有値である。多くの場合エネルギー固有値には最小のものがあり,これに対する固有状態は系の基底状態と呼ばれる。基底状態のエネルギー固有値は系のあらゆる可能な波動関数ψによって得られるハミルトン作用素の期待値のうち最小となる値であり,またその最小値を与えるψが基底状態の波動関数となる。…

※「基底状態」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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