内奏方(読み)ないそうがた

改訂新版 世界大百科事典 「内奏方」の意味・わかりやすい解説

内奏方 (ないそうがた)

室町幕府訴訟処理機関の一つ。その役割は訴訟処理の過誤を救済することにあると推測され,鎌倉幕府の奏事・内訴の制度を継承したものではないかと考えられている。1347年(正平2・貞和3)ころにはすでに存在したと思われるが,その活動の証跡はきわめて乏しい。当時の頭人は評定衆であった中条挙房と推定され,少なくともこの時期には右筆奉行人飯尾三郎左衛門尉が内奏奉行であったことが知られる。おそらく,頭人および数人の右筆奉行人を擁する機関であったのだろう。残された史料によれば,通常の手続では達せられない訴訟の窓口となり,審理を経たうえで該当する裁判機関へ送付する機関であり,裁決原案の作成までは関与しなかったものと思われる。室町時代の中期以後にはその存在を示す史料がない。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android