国指定史跡ガイド 「円満院庭園」の解説
えんまんいんていえん【円満院庭園】
滋賀県大津市園城寺町にある庭園。重要文化財で桃山時代の書院造りの宸殿の南側に位置する庭園。作者・作庭時代とも不明であるが、中央に細長い池が掘られ、建物と池の空き地には白砂が一面に敷きつめられ、池には亀島と鶴島が設けられている。東部の鶴島には切り石橋がかかり、羽石(はねいし)は立石をやや傾斜させて表現力は豊かである。亀島は池の中央部にあって石組みで構成され、背後には蓬莱石(ほうらいいし)として巨石が立てられており、山畔の枯れ滝石組みも豪快である。また、池の背後の築山には巨岩が数多く用いられ、その間にツツジやサツキが植えられて、優雅な雰囲気を感じさせる。円満院は平安時代後期にさかのぼる古刹で、歴代門主には皇族の出身者が多く、大津絵の初期から現代までの作品を展示した、大津絵美術館も併設されている。1934年(昭和9)に国の名勝・史跡に指令されたが、2009年(平成21)に、宸殿なども含めて他の宗教法人に売却された。京阪電鉄石山坂本線三井寺(みいでら)駅から徒歩約10分。