名勝(読み)めいしょう

精選版 日本国語大辞典 「名勝」の意味・読み・例文・類語

めい‐しょう【名勝】

〘名〙
① 景色のすぐれた地。風光明媚で知られる場所。勝地。名所。
※西洋聞見録(1869‐71)〈村田文夫〉前「其地の名勝、里程、火輪車駅」 〔北斉書‐韓晉明伝〕
名望のある人。名士
※百丈清規抄(1462)四「唐土は兼て差し定たばかり、さる兄弟名勝なんどの秉払する時は、定た禅客の外に放て禅客が出てするぞ」 〔晉書‐王導伝〕

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デジタル大辞泉 「名勝」の意味・読み・例文・類語

めい‐しょう【名勝】

景色のよいことで知られている土地。勝地。「名勝の地」
文化財保護法に基づいて文部科学大臣が指定する重要な記念物の一つ。→特別名勝
[類語]景色美景佳景勝景絶景奇観奇勝絶勝形勝景勝山紫水明風物近景遠景白砂青松風光明媚

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「名勝」の意味・わかりやすい解説

名勝
めいしょう

日本の文化財保護法における文化財の種類の一つ。文化財保護法第2条第1項第4号で定められた記念物のうち、「庭園、橋梁(きょうりょう)、峡谷、海浜山岳その他の名勝地で我が国にとつて芸術上又は観賞上価値の高いもの」で文部科学大臣が指定した、とくに重要なものをさす。

 具体的には、
1.公園、庭園
2.橋梁、築堤
3.花樹、花草、紅葉、緑樹などの叢生(そうせい)する場所
4.鳥獣、魚虫などの棲息(せいそく)する場所
5.岩石、洞穴
6.峡谷、瀑布(ばくふ)、溪流(けいりゅう)、深淵(しんえん)
7.湖沼、湿原浮島、湧泉(ゆうせん)
8.砂丘砂嘴(さし)、海浜、島嶼(とうしょ)
9.火山、温泉
10.山岳、丘陵高原平原、河川
11.展望地点
が名勝の対象となる。

 また、名勝のうち、とくに価値が高いものを「特別名勝」としている。庭園では、毛越寺(もうつうじ)庭園(岩手)、龍安寺(りょうあんじ)方丈庭園・天龍寺庭園・西芳寺(さいほうじ)庭園(いずれも京都)、山岳では富士山(静岡・山梨)、島嶼では厳島(いつくしま)(広島)といった、世界遺産にも登録されている物件など、著名な景勝地が多く指定されている。

 国が指定した名勝は2019年(令和1)11月時点で418件(うち特別名勝36件)。都道府県が指定した名勝は287件、市町村が指定した名勝は880件(いずれも2019年5月時点)である。

[佐滝剛弘]


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百科事典マイペディア 「名勝」の意味・わかりやすい解説

名勝【めいしょう】

文化財保護法によって指定される記念物のうち,日本のすぐれた国土美として欠くことができず,風致景観の優秀なもの,また芸術的・学術的価値の高いもの。公園,庭園,花樹,岩石,洞穴,峡谷,湖沼,砂丘,海浜,山岳,高原,展望地点など。特に価値の高いものは特別名勝に指定される。2013年3月現在指定件数333(うち特別名勝30)。
→関連項目文化財

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「名勝」の意味・わかりやすい解説

名勝
めいしょう

広義には風景のすぐれたところで,名所とほぼ同じ意味だが,狭義には,文化財保護法により文部大臣の指定を受けている区域。同法では,貝塚,古墳などの遺跡で歴史上,学術上価値の高いもの,庭園,橋梁などの名勝地で,芸術上,観賞上価値の高いもの,動植物などで学術上の価値の高いものとされる記念物のうち重要なものを,史跡,名勝または天然記念物に指定することができるとされている。名勝の指定は,1996年現在 260件,うち 28が特別名勝である。

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世界大百科事典(旧版)内の名勝の言及

【文化財保護法】より

…文部大臣は,〈有形文化財のうち重要なもの〉を重要文化財に,〈重要文化財のうち世界文化の見地から価値の高いもので,たぐいない国民の宝たるもの〉を国宝に指定することができる(27条)。また,文部大臣は,〈無形文化財のうち重要なもの〉を重要無形文化財に,〈有形の民俗文化財のうち特に重要なもの〉を重要有形民俗文化財に,〈無形の民俗文化財のうち特に重要なもの〉を重要無形民俗文化財に,〈記念物のうち重要なもの〉を史跡,名勝または天然記念物(〈史跡名勝天然記念物〉と総称する)に,かつ,〈史跡名勝天然記念物のうち特に重要なもの〉を特別史跡,特別名勝または特別天然記念物に,それぞれ指定することができる(特別史跡名勝天然記念物。56条の3,56条の10,69条)。…

※「名勝」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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