改訂新版 世界大百科事典 「出世の道」の意味・わかりやすい解説
出世の道 (しゅっせのみち)
Moyen de parvenir
16世紀末の作家ベロアルド・ド・ベルビルBéroalde de Verville(1556-1612?)の小話集。1610年刊。アリストテレスやカエサルから,エラスムスやロンサールにいたる数百名の古今の著名人が大宴会に列席し,好き勝手な論議をかわすという構成のもとに,全編にわたって無遠慮な好色笑話がちりばめられている特異な作品である。作者のベロアルドはプロテスタントからカトリックに改宗した博識家で,数多くの著作があるが,匿名で出版されたこの一作のみによって後世に名を残した。詭弁や風刺や語呂合せなどを自由にあやつった,ラブレーを思わせる豪放快活な文体が高く評価されている。日本では抄訳《艶笑十八講》(1954)が刊行されている。
執筆者:山本 顕一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報