国指定史跡ガイド 「函石浜遺物包含地」の解説
はこいしはまいぶつほうがんち【函石浜遺物包含地】
京都府京丹後市久美浜町箱石にある遺物出土地。石と金属の併用時代から室町時代にわたるまで長期の遺物を包含する貴重な土地とされ、1921年(大正10)に国の史跡に指定された。日本海に面する旧久美浜(くみはま)町の砂浜で採集された遺物は、弥生土器をはじめとして、石鏃(せきぞく)、石斧(せきふ)、石錘(せきすい)、石槌(せきつい)、石剣、砥石などの石器類、銅鏃、鉄鏃などの金属器、勾玉(まがたま)、管玉(くだたま)、装身具、貨泉(中国、新の王莽(おうもう)が西暦14~23年に鋳造した銅銭)2個を含む各種の銭貨などである。これらの遺物が採集された場所は、遺物の特色によって、鉄山、貝塚、石原、人形ヶ岡、骨山、製造場、白石、新開場と名付けられ、須恵器(すえき)を副葬した箱式棺も発見された。遺物は弥生時代のものが中心だが、縄文時代から室町時代にいたる各種の遺物が出土しており、遺跡の性格は複雑な様相を呈している。石鏃、銅鏃、鉄鏃の形の類似性から、わが国の利器の発達過程を研究するうえで注目され、出土した貨泉は中国文化の影響などを考えるうえで重要視されている。北近畿タンゴ鉄道宮津線丹後神野駅から車で約10分。