分が無い(読み)わけがない

精選版 日本国語大辞典 「分が無い」の意味・読み・例文・類語

わけ【訳】=が[=も・=は]無(な)

  1. 筋道が立たない。道理がない。理解ができない。でたらめである。めちゃめちゃである。また、意味がない。ばかばかしい。
    1. [初出の実例]「友善柔とは、人にさしあうては人の云ことをさなりと肯て、其前を退てはわけもないことを云とそしる者を善柔と云」(出典:応永本論語抄(1420)季氏第一六)
    2. 「三衣をわけもなう縫ふ事をきらうてわるう云也」(出典:六物図抄(1508))
  2. 正体がない。たあいがない。また「わけもなく」の形で用いて、特別の理由なく。ただなんとなく。また、むしょうに。
    1. [初出の実例]「五臓の各の部をやぶりて、わけもなうないたぞ」(出典:史記抄(1477)一四)
    2. 「みな川を始女郎泣出してわけもなうなりける」(出典:浮世草子・好色五人女(1686)一)
  3. 容易である。簡単である。
    1. [初出の実例]「貴方の今の風邪ぐらゐの時に薬を飲むだら、難(ワケ)は無かったです」(出典多情多恨(1896)〈尾崎紅葉〉前)
  4. ( 動詞について ) …のはずがない。…であるはずがない。
    1. [初出の実例]「此位の事で君子の挙動の変化する訳がない」(出典:吾輩は猫である(1905‐06)〈夏目漱石〉八)

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