…接合によるトンネル効果の発見は,その後トンネル分光学という新分野を開き,やがては超伝導体の研究にもその手法が適用されて重要な発見をもたらすなど,固体物理学の発展に大きく寄与し,このことがノーベル賞受賞の理由となった。69年から70年にかけて,現在,分子線エピタキシー法(MBE法)と呼ばれる層状人工結晶作成の方法を開発し,その層を貫く方向に流れる電流の共鳴的トンネル効果や負性抵抗を研究するとともに,最近は層に沿った方向に流れる二次元的電流の物理的研究で重要な現象を発見するなど,半導体素子材料に新しい動向を生み出しつつある。【植村 泰忠】。…
…現在は同種結晶についてもエピタキシャル成長という。最近,超高真空中で分子線を使用したエピタキシー(分子線エピタキシー)が注目されている。 結晶が成長しつづけるには,臨界値以上の温度の低下(過冷却度),濃度の上昇(過飽和度)が必要である。…
…ほとんどすべての物質に対してこの方法は適用可能であるが,化合物を蒸発させると,できた薄膜の組成が原材料と異なることが多い。蒸発源の周辺を冷却して蒸発した物質による雰囲気の形成を妨げ,シャッターによる蒸発の制御を容易にして薄膜の厚さを10-1nmの桁で制御できるようにしたうえで単結晶薄膜を形成する装置をとくに分子線エピタキシー装置という。 薄膜材料を加熱,蒸発させるかわりに,イオン銃やグロー放電などで発生させた高速イオンを薄膜材料に照射し,イオン衝突で蒸発させる方法をスパッタリングsputteringといい,この場合の蒸発源に相当する部分をターゲットと呼ぶ。…
…原子線や分子線を利用した研究としては,磁場による銀の原子線分岐を観測し,電子のスピン導入の糸口となったシュテルン=ゲルラハの実験(1921)がよく知られているが,この方法はその後,分子や原子の微細なエネルギー構造を研究する磁気共鳴法へと発展した。このほか,アンモニアメーザーなどへの利用もあり,また最近では,分子線を利用して,シリコンなどの表面に,必要な分子を下地と整合性を保ちながら成長させる分子線エピタキシー法(MBE。molecular beam epitaxyの略)により,IC(集積回路)やLSI,超LSIなどを製作する技術が急速に発達しつつある。…
※「分子線エピタキシー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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