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分子線 ぶんしせん molecular beam

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

分子線
ぶんしせん
molecular beam

中性分子の線束。気体や蒸気を狭い穴から高真空中へ噴出させ,さらにスリットにより方向と太さをそろえてつくる。原子線をも含めて分子線ということもある。線束中の分子が互いに離れているために,単独の分子について研究できる利点がある。

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出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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デジタル大辞泉の解説

ぶんし‐せん【分子線】

中性分子からなる粒子線。同一方向に細い線状で進行する多数の中性分子の流れのこと。原子線は単原子の分子線とみなせる。

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百科事典マイペディアの解説

分子線【ぶんしせん】

一定方向に走る中性分子の流れ。原子線をも含めて分子線という。ふつう真空中で物質を蒸発させ,狭いスリットを数回通過させて同じ向きに走る分子線をつくる。気体分子運動論の実証,固体表面にあてて反射や吸着を調べる,磁気モーメント電気双極子モーメントの測定,分子・原子の微細なエネルギー構造の研究などに用いられる。

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世界大百科事典 第2版の解説

ぶんしせん【分子線 molecular beam】

電荷をもたない中性分子からできた粒子の流れ。高真空中に気体分子を吹き出させ,狭いスリットを何回か通過させてほぼ平行にしたもの。原子線atomic beamは単原子の分子線に相当する。原子線や分子線を利用した研究としては,磁場による銀の原子線分岐を観測し,電子のスピン導入の糸口となったシュテルン=ゲルラハの実験(1921)がよく知られているが,この方法はその後,分子や原子の微細なエネルギー構造を研究する磁気共鳴法へと発展した。

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大辞林 第三版の解説

ぶんしせん【分子線】

電荷をもたない中性分子の粒子線。多くのスリットを通過させることで同一方向に進む分子線が得られ、シャッターの遮断・開放によって制御することが可能。

出典|三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

分子線
ぶんしせん
molecular beam

細い線束となって一方向に直進する中性分子の流れ。分子ビームともいう。構成粒子が単体原子の場合には原子線とよばれる。細い孔(あな)や管から自然の熱運動で噴出する流れを、何段かの孔を通して成形してもつくられるが、この方法で得られるビームでは、速度もそろっておらず線束の強度も小さい。ビームをつくる技術が進歩して、気圧の高い線源から特殊な形状のノズルを通って噴出する気体の断熱膨張を利用して超音速分子流を得るノズルビームが開発され、速度や方向のそろった強度の大きい分子線が得られるようになった。
 分子線は方向のそろった分子の流れという性質を利用して、種々の分野に応用される。歴史的には1910年代の初期から、分子線実験は気体分子運動論の検証に応用された。磁気モーメントをもつ分子は磁場の中でいくつかのエネルギー準位に分かれ、磁場の大きさがある値になったとき、決まった周波数の電磁波を共鳴的に吸収したり放射したりする。また磁気モーメントをもつ分子のビームを不均一な磁場に垂直に入射させると、分子は進行方向と垂直に力を受けて進路が曲げられる。したがってこの方法によれば、磁気モーメントの異なる分子をその軌道によって選別することができる(シュテルン‐ゲルラハの実験)。分子線磁気共鳴法は、以上のような分子の性質を利用してその磁気モーメントを測定し、分子の種類や状態を同定する方法である。また分子線メーザーは、このような実験法を組み合わせて、上位のエネルギー準位にある分子の数が下位のエネルギー準位にある分子数より多いような(反転分布)状態の分子線をつくり、空洞共振器中でマイクロ波の誘導放射を行わせるもので、高精度の周波数(時間)標準として利用される。アンモニアメーザーや水素原子メーザーがその例である。
 金属原子ビームを用いる高度の分子線技術は1960年代以降超LSIなどエレクトロニクス素子の製造工業にも応用されるようになった。ビームの強度や方向を精密に制御した分子線を利用する結晶成長法は分子線エピタキシーmolecular beam epitaxy(略称MBE)とよばれ、ICやLSI、超LSIの製造に広く応用されている。また分子線の技術は化学反応の基礎過程を研究する分子線どうしの交差衝突実験にも応用されて、成功を収めている。リーはこの方法の開発と一連の化学反応素過程の動力学的研究の成果により、ハーシュバック、ポランニーとともに1986年のノーベル化学賞を受けた。[鈴木 洋]

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