分解された男(読み)ぶんかいされたおとこ(その他表記)The Demolished Man

日本大百科全書(ニッポニカ) 「分解された男」の意味・わかりやすい解説

分解された男
ぶんかいされたおとこ
The Demolished Man

アルフレッド・ベスターのSF。1953年刊。24世紀、この時代は、相手の心を透視する超能力者たちの存在によって、殺人は不可能事とされた。殺意を抱いただけでも見破られてしまうからだ。ところが、全太陽系を支配する産業王国の樹立をねらうベン・ライクは超能力者を抱き込んでライバルを殺してしまう。この世紀の大犯罪を捜査するのは、超能力者たちを率いるパウエル刑事部長。彼は精神感応力によって、ライクが犯人であることを見抜くが、ライクのほうでももてる富と知略の限りを尽くして防戦を開始する。迫力ある文体と前衛的技法を駆使して第1回ヒューゴー賞を受賞した記念作。

厚木 淳]

『沼沢洽治訳『分解された男』(創元推理文庫)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

関連語 創元推理文庫

今日のキーワード

苦肉の策

敵を欺くために、自分の身や味方を苦しめてまで行うはかりごと。また、苦しまぎれに考え出した手立て。苦肉の謀はかりごと。「苦肉の策を講じる」...

苦肉の策の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android