分部村(読み)わけべむら

日本歴史地名大系 「分部村」の解説

分部村
わけべむら

[現在地名]津市分部

小船おぶね村の北、長谷はせ(三二〇・六メートル)東麓にあり、北を穴倉あなくら川が流れる。別部・和気部とも記す。丘陵地には数百基の群集墳が分布している。「神鳳鈔」にみえる「弘永名九反」「弘永十五丁五反」の弘永は、当村の北端安濃あのう川と穴倉川とに挟まれた低平地にあり現在は広永ひろながと書く。

室町時代長野氏の与力から慶長六年(一六〇一)二万石の大名にまでなった分部氏の本貫地で、安東郡専当沙汰文に「一、堅田寄御田、半割田定一段者、和気部伊勢守寄進」とあり、この和気部がその前身と思われる。平泉ひらいずみ神社の棟札に「南閻浮提日本国、勢州安濃郡和気部平泉大明神、宝殿奉修造、于時明応元十二月廿三日上棟之辰、大工藤原氏宗定等、地頭民部丞殿御代之代官別墅(下略)」とあり、「地頭民部丞」はおそらく分部文書(滋賀県高島町円光寺蔵)にみえる分部光定で、永正一〇年(一五一三)五百野いおの(現安芸郡美里村)合戦で負傷して長野尹藤より感忠状を与えられ、また天文一七年(一五四八)四月二七日付の三間親吉書状によって、上野城を預けられ、同一九年五月には家所いえどこ城へ在城し、上野城に近い尾崎おざき郷代官職、別保代官職、窪田くぼた名公文職などを与えられた。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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