初瀬井路(読み)はつせいろ

日本歴史地名大系 「初瀬井路」の解説

初瀬井路
はつせいろ

大分川左岸地域にある農業用水路。荏隈えのくま井手(国井手)阿南庄あなんのしよう新井手(初瀬川)向原むかいのはる新井手(初瀬井路助水路)の総称で、現在は庄内しようない町の大分川櫟木いちぎダム左岸部から取水し、挟間はさま町を経て大分市賀来かく・南大分地区を貫流上野うえの丘の南を通って東端から北側を回り、志手してを経て生石いくし地区で大分港に流入する。幹川流路の総延長は約三六・四キロ、灌漑面積は三三六ヘクタール。

天正一七年(一五八九)七月二〇日の大友吉統書状(大友家文書録)に「荏隈郷井手之儀付而、辛労之由肝要候」とみえ、井手の竣工を急ぐよう吉良越中入道・賀来兵部少輔が命じられている。この井手が荏隈郷井手にあたり、同一〇年賀来庄・荏隈郷・笠和かさわ郷の村民の願いによって大友義統(吉統)が起工したと伝える(豊府紀聞)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報