制宙権(読み)せいちゅうけん(英語表記)space superiority

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

制宙権
せいちゅうけん
space superiority

宇宙の特定の空間を管理、制御する能力によって確立された宇宙の支配権。宇宙空間における制空権であり、自国の宇宙船や人工衛星、宇宙ステーションなどが安全に活動できる状態が確保されていることを意味する。
 アメリカ、ロシア、ヨーロッパ諸国、日本が中心になって開発してきた宇宙の利用は、1990年代以降、開発技術獲得とその商業化に重点が置かれ、国際宇宙ステーションの建設、気象・通信放送衛星の打ち上げ・運用などの取り組みが中心であった。一方、1983年にアメリカ大統領レーガンが提唱した戦略防衛構想以降、世界各国の軍事システムは衛星通信への依存を強め、他国と比して戦略的な優位性を獲得するために宇宙の支配権を確保することが重要な意味合いを帯びるようになった。さらに、中国やインドなどが自前の人工衛星を保有する動きを活発化させ、2007年に中国は弾道ミサイルを使った人工衛星の撃墜実験に成功。これに対し、アメリカは翌2008年にイージス艦に配備した海上配備型迎撃ミサイルで、上空およそ250キロメートルにある自国の偵察衛星を撃墜した。その後、日米欧が進める宇宙ステーションの建造計画から除外されている中国は、2020年をめどに独自の有人宇宙ステーション計画を進めることを発表し、2012年にその第一歩となる有人宇宙船神舟9号と宇宙実験船天宮1号のドッキング実験を成功させた。宇宙空間での軍事的な優勢確保を目的とする宇宙利用に関する技術競争が激しさを増している。[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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