他に頼って在ること、生きること。人間の赤ん坊は、ほかの動物に比べてはるかに未成熟の状態で生まれるため、長い期間にわたって独力で生きていくことができず、周囲の大人、とくに母親からの扶養に頼らなければならない。これが対人関係における依存の原型である。子供は発育成長するにしたがって、自力で生活する領域を広げ、やがて独立した社会人として「自立」するが、これはかならずしも自分かってにふるまったり、「ひとりわが道をゆく」ことではない。われわれは、人と人とのかかわり合いの網目(あみめ)としての社会のなかに生きているのである。全面的な依存から出発した人間の成長した姿は、「ひとり立ち」ではなく、必要に応じ状況に応じて、お互いに依存しあう相互依存の状態である。
[辻 正三]
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