20世紀日本人名事典 「前大峰」の解説
前 大峰
マエ タイホウ
明治〜昭和期の漆芸家
- 生年
- 明治23(1890)年11月10日
- 没年
- 昭和52(1977)年6月8日
- 出生地
- 石川県輪島
- 本名
- 前 得二(マエ トクジ)
- 学歴〔年〕
- 粟蔵尋常高小卒
- 主な受賞名〔年〕
- 日展特選〔昭和21年〕
- 経歴
- 明治39年沈金の名工・3代目橋本佐助に弟子入りし、大正元年23歳で独立した。沈金は漆器の表面に彫刻刀で文様を彫り、その凹部に金箔などを埋めて文様を表すもの。大正10年に発足した石川県工芸奨励会の展覧会に毎回出品しては腕をみがき、昭和4年には「遊鯰の手箱」が帝展特選となり、輪島塗の沈金作家の中でも代表的存在となった。21年日展特選、24年「沈金蘭と猫文小屏風」で文部大臣賞受賞。29年以降は日本伝統工芸展に出品。従来の沈金が線彫り中心のため立体的表現が困難だったのに対し、点描でそれを可能にした。猫の柔かく丸い体を表現した作品で有名。
出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報