フランス新印象主義の画家スーラ(1859―91)の案出した絵の具の塗り方で、絵の具を重ね塗りすることなく小さな斑点(はんてん)を並べてゆく技法のこと。印象派の考えた色調分割の技法をより徹底させたもので、これによって画面の統一感が高まり、また全体的な明るさも保証される。シュブルールMichel E. Chevreul(1786―1889)その他の光学理論、色彩学理論の影響下に成立した技法で、色調分割とか分割主義とかいう場合には色彩の視覚混合の意味を含み、単に点描主義pointillismeというときには、多くの斑点の並置のみをさすことが多い。この技法はシニャック、ピサロ、ゴッホ、マチスらにも影響を与えた。また、画面をこのように冷静な科学的態度で完成させようとする傾向はキュビスムや抽象美術を予告するものでもあった。
似たような技法は東洋にもある。米芾(べいふつ)(1051―1107)の創始した米点(べいてん)がそれで、中国および日本の南画で山水の湿潤な感じを出すために愛用された。
[池上忠治]
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