金を打ち延ばして薄い箔としたもの。金はあらゆる金属のうちで最も展延性に富み,0.3μm程度の箔にまですることができる。この金箔は光を透過し,透過光はほぼ緑色を呈する。化学的に安定で環境に対して強い金は箔に延ばし,金閣寺や秀吉の茶室などにみられるように,建築物の表装材としても使用され,その色と光沢の美しさを外に誇った。現在では,おもに美術工芸品や,金糸,書籍の天金装飾などに用いられている。市販品には微量の銅や銀が添加されている。
金箔は,純金のインゴット(型に流し込んで固めた金属塊)をまず熱間圧延して(圧延温度は材料が薄くなるにつれて低くなる)数十μmの厚さの板とし,これを小さく切って和紙の間にはさみ,木づちで打ち延ばしてつくる。和紙には灰汁による処理を施し,しなやかさと滑らかさとを与える。たいせつなことは,紙と箔材との間の摩擦が小さいことと,和紙の硬い繊維が局部的にうまく材料に押しこまれて材料の変形を助けることにある。
執筆者:木原 諄二
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もっとも歴史の古い金属箔の一種。金の高い展延性を利用し、打ち延ばして厚さ0.1マイクロメートルのものまでできる。高純度の金は箔打ちが困難で、市販のものは金と銅と銀の合金である。合金にすると展延性は向上するが、色に差異が出る。日本では金沢市で国内全生産量の98%以上がつくられている。製箔工程は機械化が一部行われているものの、技法に伝統的な部分が非常に多く、最終の箔打ち工程では、特殊な処理を施した和紙に上澄みとよばれる厚さ2マイクロメートル程度の金を挟んで束にし、それを革で包んだものを箔打ち機で打って金箔にしている。主として美術工芸品、金切箔(きんきりはく)、金糸の材料になり、また書籍の天金(てんきん)など装飾に用いられる。
[志村宗昭]
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出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
…絵具
[箔,泥,砂子]
箔(はく)には金,銀をはじめとし,プラチナなどが用いられる。金箔には厚さの違いと,銀や銅との合金による色の差があり,純金箔,山吹,青金(あおきん),水金などと呼ばれる。これを画面に貼ったり,散らして文様を表現することは古くから行われた。…
…
[西アジア,西欧]
木の家具の歴史は古く,古代エジプトではファラオの玉座をはじめ寝台,椅子,腰掛,櫃(ひつ),テーブル,化粧箱,頭架などが作られている。それらの装飾には彫刻,象嵌,塗装,金箔付けなど木工芸にとって主要な装飾技法が使われていた。木材加工に使用した工具には鋸(のこぎり),鑿(のみ),ハンマー,斧,錐(きり),小刀,砥石(といし)などがあり,また部材の組手には枘接(ほぞつぎ)と蟻接(ありつぎ)などが使われていたことからみて,古代エジプトの木工技術はきわめて高い水準に達していたものとみられる。…
…なお羅文の中に飛雲が加わったり,羅文の飛雲もあるので,両者の技法は近いとみられる。 仕上がった紙を加工する装飾には〈からかみ〉や墨流し,金箔,描(かき)文様,下絵,継紙(つぎがみ)など数多くの技法がある。〈からかみ〉は初め中国から輸入された唐紙の意味であったが,しだいに装飾紙の技法をさすようになった。…
※「金箔」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
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