…〈良き月夜〉〈夏まで待つな〉〈仇(かたき)が来たか〉〈確かに貸した〉〈わたし負けましたわ〉〈千葉の竹やぶ焼けたの罰(ばち)〉といった庶民的なものから,〈ながめしは野の花々のはじめかな〉のような俳句,江戸時代によく知られていた〈長き夜のとをの眠りのみな目ざめ波のり舟の音のよきかな〉という良い初夢を祈る和歌まで,言霊のさきわう日本には無数の例がある。ただ,同じく江戸の歌人加保茶元成が放屁を歌った〈へ〉を31字並べた狂歌は,やや反則の気味がないとはいえない。現代の新作として,土屋耕一の〈力士手で塩なめなおし,出て仕切り〉〈酢豚つくりモリモリ食ったブス〉を挙げておく。…
※「加保茶元成」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」