化学修飾電極(読み)かがくしゅうしょくでんきょく(英語表記)chemically modified electrode

改訂新版 世界大百科事典 「化学修飾電極」の意味・わかりやすい解説

化学修飾電極 (かがくしゅうしょくでんきょく)
chemically modified electrode

金属電極炭素電極の表面は酸化雰囲気においては酸化物でおおわれているが,このような電極表面に対し,機能性物質を化学結合ないし強吸着させて電子伝達の場と新しい電極機能を与えるようにした電極。最初の修飾電極は1975年ミラーL.L.Millerらによってつくられた。彼らはグラファイト電極を160℃で空気酸化してカルボキシル基を導入した後,塩化チオニルSOCl2酸クロリドとなし,(S)-フェニルアラニンメチルエステルを用いてフェニルアラニンをアミド結合した電極を作成し(図参照),この電極を用いて4-アセチルピリジンおよびフェニルグリオキシル酸エチルを不斉還元した。金属電極や金属酸化物電極では,表面のヒドロキシル基を利用して官能基を導入する。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の化学修飾電極の言及

【ボルタンメトリー】より

… ボルタンメトリーの指示電極には通常,液体の水銀,白金や金などの貴金属あるいはカーボンのように化学的に安定な固体が使用される。近年は,金属酸化物や有機金属化合物などの導電性化合物,半導体あるいは金属やカーボンの表面を特定の機能をもつ化合物,たとえばポルフィリン,クロロフィルなどで修飾したものが使用され,化学修飾電極などと呼ばれ,電子授受を行う役割のほかに触媒作用や光エネルギー変換などの役割をもたすことが行われている。いろいろな電極表面に可視光などを照射し,その応答を観測することは,光化学と電気化学との境界に生まれた新領域で光電気化学といわれる。…

※「化学修飾電極」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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