化学辞典 第2版 「炭素電極」の解説
炭素電極
タンソデンキョク
carbon electrode
炭素は耐食性に富むとともに高い電気伝導性をもつ.この性質により,炭素電極は電気分解用や電気炉製鋼用電極として広く利用されている.また,素材の炭素の形態に応じてさまざまな電極が開発されている.一般の工業用電極は,黒鉛やコークスをピッチなどと混合し,成形した後,焼成したものである.フェノール樹脂やフラン樹脂を成形して炭化したものは,破断面がガラス状であるため,ガラス状炭素(グラッシーカーボン)とよばれ,電位窓が広く,水素過電圧が水銀電極と白金電極の中間にあるため,ボルタンメトリーなどの電極としてよく用いられる.また,黒鉛などの基板を高温に加熱し,その上に炭化水素ガスを流すことによって熱分解炭素(ピロリティックカーボン)を生成することができる.熱分解炭素は高密度で,不通気性である.この炭素も電極として用いられるが,異方性が非常に大きい.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報