化学辞典 第2版 「化学発がん剤」の解説
化学発がん剤
カガクハツガンザイ
chemical carcinogen
発がん性を有する化学物質.ベンゾピレン,ニトロソ化合物,微生物由来の毒素アフラトキシンなど多数知られる.化学発がんは二段階を経て起こる.化学物質によりDNAに変異が入るのが第一段で,このような作用を有する化合物をイニシエーターという.このようにしてできた変異細胞がアポトーシスによる死をのがれ,かつ異常な細胞増殖能を獲得するのが第二段階で,そのような作用を有するホルボールエステルなどの化合物をプロモーターとよんでいる.両者が作用してはじめて悪性のがんとなるが,なかには両方の作用を合わせもつベンゾ[a]ピレン,4-アミノビフェニル,2-ナフチルアミンなどのように完全型の発がん剤もある.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報