日本大百科全書(ニッポニカ) 「ナフチルアミン」の意味・わかりやすい解説
ナフチルアミン
なふちるあみん
naphthylamine
芳香族アミンの一つ。ナフタレンのアミノ基-NH2置換体。アミノナフタレン、ナフタレンアミンなどともいう。アミノ基の位置により2種の異性体がある。
(1)1-ナフチルアミン α(アルファ)-ナフチルアミンともいう。無色の結晶。空気にさらすと赤紫色に変化する。1-ニトロナフタレンを鉄と塩酸で還元して合成する。水にはほとんど溶けないが、エタノール(エチルアルコール)、エーテルにはよく溶ける。染料の原料として利用されている。発癌(はつがん)性物質である。
(2)2-ナフチルアミン β(ベータ)-ナフチルアミンともいう。融点110.1~110.2℃、沸点306.1℃。無色の結晶。空気中では紫赤色に変化する。2-ナフトールにアンモニアと亜硫酸アンモニウムを加圧下、加熱して反応させると得られる(ブッヘラー反応)。水蒸気蒸留を受け、冷水にはほとんど溶けないが、熱水には溶ける。エタノール、エーテルにもよく溶ける。染料の合成に利用される。発癌性物質である。
[務台 潔]
ナフチルアミン(データノート)
なふちるあみんでーたのーと
分子式 | C10H9N |
分子量 | 143.2 |
融点 | 49.2~49.3℃ |
沸点 | 299.4~299.7℃ |
比重 | 1.1229(水25℃,測定温度25℃) |
屈折率 | (n)1.67034 |
溶解度 | 0.167g/100g(水25℃) |