日本歴史地名大系 「北海道殖民状況報文」の解説
北海道殖民状況報文(状況報文)
ほつかいどうしよくみんじようきようほうぶん
七冊 北海道庁 明治三一―三四年刊ほか
解説 道庁が明治二九年(試行的には明治二八年から)以降行った全道各地の殖民地(移民入植地)の現況調査報告。明治二八年度の調査は石狩・胆振・渡島・後志各国にわたったが、本格的には拓殖進度の最低地方である根室・北見両国から開始され(同二九年)、ついで天塩国(同三〇年)、釧路・十勝・日高各国(同三一年)と続き、以後も明治三四年頃まで続行された。調査と報文編集の中心は道庁殖民課事業手河野常吉。報文の内容は、各国とも前編(総説)と後編(郡町村の概況)に分れ、地理・気候・動植物・沿革・郡町村および官衙・運輸交通・戸口・諸産業・風俗人情・町村経済・教育・衛生・社寺などの項目について記述。入植後まもない各地についての風土記であり、地誌であった。報文は、根室国(明治三一年)、北見国(同上)、日高国(同三二年)、釧路国(同三三年)、十勝国(同三四年)の順に刊行された。昭和五〇年同上五冊復刻刊行(北海道出版企画センター)。調査当時、五冊以外は刊行されなかったが、昭和六二年、道立図書館・山形県鶴岡市立郷土館所蔵の河野常吉・一色藤之助の調査書等により、石狩国および後志国二国の報文が新たに構成され、北海道出版企画センターから出版された。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報