石狩国(読み)イシカリノクニ

デジタル大辞泉 「石狩国」の意味・読み・例文・類語

いしかり‐の‐くに【石狩国】

石狩

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本歴史地名大系 「石狩国」の解説

石狩国
いしかりのくに

明治二年(一八六九)八月に道内に設置された一一ヵ国の一つで、石狩・札幌・夕張・樺戸かばと・空知・雨竜うりゆう・上川・厚田あつた浜益はまますの九郡からなる(公文録)。一一ヵ国設置の際に、胆振国に編入された千歳川の中・上流域を除いた石狩川水系の全流域を領域とし、国名も同川に由来する(「国名之儀ニ付申上候書付」松浦家文書)。北は天塩国、北東は北見国、東は十勝国、南は胆振国に接し、西は北部では石狩湾に臨み、南部は後志国に接する。また南東のごく一部は日高国と接していた。千歳川が通じる胆振国境の一部を除けば、隣接各国との国境には、石狩川水系の忠別ちゆうべつ川・雨竜川・空知川・幾春別いくしゆんべつ川・夕張川・豊平川などの水源地帯となる山地が連なり、北東部、石狩川本流と忠別川の合流点一帯には上川盆地が開け、南西部の石狩川下流域には石狩平野が広がる。なお当国管内は現在の石狩支庁(札幌市を含む)のうち千歳市・恵庭市を除いた全域(札幌・石狩・江別・北広島の四市と一町・三村)空知支庁全域(岩見沢・夕張・三笠・美唄・歌志内・砂川・滝川・赤平・芦別・深川の一〇市と一六町・一村)上川支庁の南半部(旭川・富良野の二市と一一町)の計一六市・二八町・四村に相当する。

近世末期にはイシカリ場所(イシカリ十三場所)・アツタ場所・ハママシケ場所の三場所に編成され、イシカリ会所が置かれた石狩川河口のイシカリ(現石狩市)は鮭漁、アツタ場所・ハママシケ場所はニシン漁で賑わった。近藤重蔵はイシカリ地方(石狩川流域)を蝦夷地経営の拠点とすることを提唱し、また近世末期にはのちの札幌郡地域を中心に在住制や御手作場経営による和人の入植もみられた。明治二年、石狩郡は兵部省、樺戸郡雨竜郡は周防山口藩、夕張郡は土佐高知藩、空知郡は旧仙台藩の要害館主であった伊達英橘邦直(岩出山要害)・伊達勝三郎広高(宮床要害)・亘理元太郎胤元(涌谷要害)の三人の支配となり、札幌・上川・厚田・浜益の四郡は開拓使直轄となった。同三年一月に石狩郡が開拓使に移管となる一方、同年一〇月には浜益郡が東京芝増上寺の支配に転じた。しかし同四年八月に浜益郡のほか樺戸・雨竜・夕張・空知の各郡も開拓使に移管され、全域が開拓使の管下となった(「北海道志」巻一)。札幌郡の札幌村・篠路しのろ村・発寒はつさむ(現札幌市)などは近世末期の和人入植者の開墾地を母体に明治初年には一村となっていたと推定される。明治二年開拓使は北海道開拓の拠点となる本府の建設地として札幌扇状地を選択し、本府および市街(札幌市街)の建設に着手、以後、石狩地方の開発は札幌を中心に進められていく。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

百科事典マイペディア 「石狩国」の意味・わかりやすい解説

石狩国【いしかりのくに】

1869年,蝦夷(えぞ)地を北海道と改めた際に建置された11ヵ国の一つ。北海道中央部から西部,中央を石狩川が流れる穀倉地帯。石狩・札幌(さっぽろ)・夕張(ゆうばり)・樺戸(かばと)・空知(そらち)・雨竜(うりゅう)・上川(かみかわ)・厚田(あつた)・浜益(はまます)の9郡を含んだ。のち開拓使札幌本庁に属し,ついで札幌県,北海道庁管轄となった。

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世界大百科事典(旧版)内の石狩国の言及

【石狩川】より

…開拓期初め,石狩川の水運は重要な役割を果たし,札幌の都市建設に当たっても当時の本流から市内に入る運河が掘削されている。1869年(明治2)の国郡設置に当たっては,石狩川の集水域に若干の海岸部を加えて石狩国とし,札幌,石狩,厚田,浜益,夕張,空知,樺戸,雨竜,上川の9郡に区分した。今日この集水域には全道人口の半ば以上が居住し,とくに石狩平野と上川盆地には水田地帯が広がり,道内米産量の70%以上を占め,この川およびその支流の周辺に広がる石狩炭田は産業革命期以来のエネルギー供給に大きな貢献をしてきた。…

【石狩山地】より

…北斜面の石狩川,常呂(ところ)川,南斜面の十勝利別川,空知川の河谷がほぼほかの山地との境となり,西は上川盆地,富良野盆地,南は十勝平野に臨む。石狩中央山地は,主要な山嶺線が東西に走り,石狩岳(1966m)を最高峰とし,その東に音更(おとふけ)山,ユニ石狩岳,三国山が,西に沼ノ原山などが連なり,石狩国と十勝国との境界をなす。古生層の日高層群を主体とするが,音更山,ユニ石狩岳では基盤の花コウ岩の露出がみられ,沼ノ原山などでは安山岩や第三紀層が山体の構成に見られる。…

※「石狩国」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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