改訂新版 世界大百科事典 「南京攻略」の意味・わかりやすい解説
南京攻略 (ナンキンこうりゃく)
日中戦争で日本軍が中国の首都であった南京を攻略した作戦。日本軍が1937年11月5日杭州湾に上陸すると,上海付近の中国軍(約70個師,約40万)は南京方向へ総退却に移った。これを追撃する中支那方面軍(司令官,松井石根大将)の強い意見に引きずられ中央は12月1日南京攻略の命令を下す。南京の占領により戦争を早期に終結しようとねらったのである。中支那方面軍のうち6個師団(推定約20万)は南京を直接防御した中国軍約10万を包囲攻撃し,中国軍は12月12日退却に移り,13日南京は陥落した。このとき南京虐殺事件(南京大虐殺)や英米の艦船に攻撃を加えたパネー号・レディバード号事件等が起こり列国の非難をうけ,また10月以来進めてきた駐中国ドイツ大使トラウトマンの和平工作も破れて,日中戦争はいよいよ泥沼化することになった。
執筆者:栂 博
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