改訂新版 世界大百科事典 「南水漫遊」の意味・わかりやすい解説 南水漫遊 (なんすいまんゆう) 江戸後期の随筆。著者は浜松歌国で,浪華江南颯々亭南水主人と号したところからきた書名である。角書に〈古今参考〉とある。初編,続編,拾遺各5巻15冊より成る。内容は南水が在住した大坂の事跡について述べたもの。初編は道頓堀濫觴(らんしよう)に始まり,浄瑠璃,歌舞伎の実話,名物,地名のいわれ,墓碑,地歌曲の成立と由来など広範囲にわたっている。続編は歌舞伎,拾遺は人形浄瑠璃に関して,広く劇場内外のようす,作品,作者,演者,出来事などに及び,番付,地図,伝書,評判記,看板なども収載している。江戸後期の大坂の,とくに演劇,音楽を知るための資料に便となっている。《新群書類従》に収録。執筆者:井野辺 潔 出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報 Sponserd by