日本大百科全書(ニッポニカ) 「南蛮学」の意味・わかりやすい解説
南蛮学
なんばんがく
戦国時代から江戸時代の初め、いわゆるキリシタン時代に南蛮人(ポルトガル人・スペイン人などの西洋人)によって日本に伝えられた西洋の学術。蛮学ともいわれた。多くはキリスト教宣教師、イエズス会士によって、キリスト教の布教とともにもたらされた。その分野は、神学関係以外では、医学・天文学・地理学などの自然科学、また印刷術や画法などの技術などであった。なお広義には、中国の明清(みんしん)天主教とともに発展したヨーロッパ的科学思想で日本に流入したものも含める。キリスト教の禁止・弾圧、鎖国により南蛮学もしだいに衰えたが、やがてオランダ人を通じての蘭学(らんがく)の勃興(ぼっこう)と発展の先駆としての役割を果たした学術として評価される。
[内田 謙]