家庭医学館 「単純ヘルペス脳炎」の解説
たんじゅんへるぺすのうえん【単純ヘルペス脳炎 Herpes Simplex Encephalitis】
単純ヘルペスウイルスの感染による脳炎で、どの年代にもおこりますが、とくに成人に頻度が高い病気です。日本では、年に約200例という発症頻度です。
[症状]
かぜの症状で始まり、40℃以上の発熱、頭痛、けいれん発作、意識障害、異常行動、性格の変化、知能障害、失語症、運動まひなどが現われ、周囲の人が気づいて受診することが少なくありません。
重症になると、ものが飲み込めなくなる嚥下(えんげ)障害や呼吸障害が現われ、昏睡(こんすい)におちいり、生命にかかわります。
治療せずに放置した場合の死亡率は60~70%です。
[検査と診断]
血液や脳脊髄液(のうせきずいえき)を調べ、ヘルペスウイルス感染の証拠が得られれば診断できますが、検査結果が出るまでに日数がかかるので、症状のほか、CTやMRI、脳波などの検査結果から判断します。
[治療]
早期に抗ウイルス薬を使用すれば、後遺症を残さずに治すことが可能です。
発病早期の治療がきわめて重要なので、おかしいと思ったらすぐに病院を受診すべきです。