ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「原子力電源」の意味・わかりやすい解説 原子力電源げんしりょくでんげんnuclear power sources 原子力をエネルギー源とする電力供給装置。一般に,人工衛星では太陽電池が利用されているが,太陽光の届かない深宇宙では,もっぱら原子力電源によって,観測・通信などの機器が運用されている。原子力電源の熱源には,ラジオアイソトープ (RI) と原子炉があり,要求される電力が小さなものは前者が,大きなものは後者が有利とされている。 RIを熱源とする原子力電源の例としては,NASAのボイジャーに搭載しているものがある。一方,宇宙用原子炉については,米,仏が研究開発を行なっており,ソ連は公表していないが,1978年のコスモス衛星の落下事故で明らかになったように,原子炉を電源とした衛星を多く打ち上げていると思われる。現在,宇宙用電源として利用されている太陽電池は,所要電力が 100kWを超えると,重量当たりの発生電力,装置の集積度および寿命などの観点から,原子力電源に及ばないとされており,今後の宇宙活動の進展にとって,原子力電源の利用は重要な要素になる。 出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報 Sponserd by