普及版 字通 「厥」の読み・字形・画数・意味
厥
12画
(異体字)
6画
[字訓] ほる・その
[説文解字]
[甲骨文]
[金文]
[字形] 形声
声符は(けつ)。その初文はに作り、象形。大きな把手のある曲刀の形。彫刻などをするときの剞(きけつ)(ほりもの刀)をいう。は厥の繁文。〔説文〕に厥をと異なる字とし、厥字条九下に「石を發するなり」と石を掘り起こす意、また字条十二下に「木の本なり。氏に從ふ。末よりも大なり。讀みて厥の(ごと)くす」といい、木根のの意とする。卜文・金文の字形は。金文に「(そ)の事」「の」のようにいう。文献には厥の字を用いる。剞の象であるには、のち厥に刀を加えての字を用いる。
[訓義]
1. 彫刻刀でほる、彫りつける。
2. 其と通じ、その。指示代名詞。また、領格の「の」。
3. 蹶と通じ、ゆり動かす、梃子で動かす。
4. 歇・と通じ、つくす、やむ。
[古辞書の訓]
〔名義抄〕厥 ソレ・ハジメ 〔字鏡集〕厥・ イシヲコス・ミジカシ・スナハチ・ソレ・ハジメ・ソノ
[声系]
・厥はもと同字異文であるが、声符としてはと厥と二系に分かれる。を祝詞の器((さい))の上に加える形は(活(かつ)の音、舌の形となる)で、〔説文〕に刮・話・括など二十一字を収める。また厥は〔説文〕に闕・蹶など十三字を収める。・系統の字は刮りとる、厥系統の字は梃子(てこ)で力を加える意を示す字が多い。
[語系]
厥hiuat、khiat、歇xiat、碣kiatにはみな尽きる意があり、その声義に通ずるところがある。giatも裂の意があり、厥と声義の関係があるものと思われる。
[熟語]
厥角▶・厥逆▶・厥初▶・厥尾▶・厥明▶・厥冷▶
[下接語]
抵厥・突厥
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報