梃子(読み)テコ

デジタル大辞泉 「梃子」の意味・読み・例文・類語

て‐こ【×梃子/×梃】

棒の途中に置いた支点中心に棒が自由に回転して、小さい力を大きな力に、小さい動きを大きな動きに変える仕組み。また、その棒。重い物を動かすときやはさみ滑車などに応用槓杆こうかんレバー
ある大きな目的を達成するための、比較的小さくても強力な手段。「減税を消費拡大の―にする」
手子のしゅ」に同じ。

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精選版 日本国語大辞典 「梃子」の意味・読み・例文・類語

て‐こ【梃子・梃・手子】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 支点のまわりに回転しうる棒。力のモーメントを利用して、小さい力を大きい力にかえることができる。機械工具の一要素として広く利用される。槓杆(こうかん)。レバー。てこじ。〔日葡辞書(1603‐04)〕
    1. [初出の実例]「どこまでも恋の車に文の手杵」(出典:雑俳・たから船(1703))
  3. ある大きな目的を達成するための、有力なとっかかりや手段。
    1. [初出の実例]「集団万引」(出典:<出典>高校生の)
  4. てこ(手子)

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改訂新版 世界大百科事典 「梃子」の意味・わかりやすい解説

梃子 (てこ)
lever

図のように1点Cでささえられた棒のB点に荷重Wが加わったとき,他の1点Aに力Pを加えて棒をつりあわせることができる。このときWPの間には次の関係がある。

 P×(長さAC)=W×(長さBC

したがって,長さACが長さBCより十分長いようにすれば,小さな力で重い物をささえたりもち上げたりすることができる。このような棒を〈てこ〉と呼ぶ。C点を支点,A点を力点,または作用点,B点を荷重点という。てこはこれら3点の位置関係によって分類され,図のように力点と荷重点が支点の両側にあるものを第1種のてこ,1端が支点になっていて,力点のほうが荷重点よりも支点から遠方にあるものを第2種のてこ,同じく1端が支点で,第2種と逆に荷重点の方が遠方にあるものを第3種のてこと呼んでいる。てこの原理は,日常,重い物を動かすのに応用され,また,はさみ,ポンプの柄,スパナなどに広く利用されている。てこの原理は,アルキメデスが数学的に証明した。なお,はかりとして使用されるてこは槓杆(こうかん)と呼ばれる。
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世界大百科事典(旧版)内の梃子の言及

【クランク機構】より

…図1のような,4本の棒(リンクあるいは節と呼ばれる)を結合した装置を四節回転機構というが,リンクaを固定して,リンクbを回転させるとcおよびdは往復運動をする。このとき固定点(B)のまわりに360度回転するbをクランク,固定点(A)を中心として往復運動をするdをてこといい,このような機構をてこクランク機構と呼ぶ。図2ではa,c両リンクとも固定点のまわりに360度回転するので二重クランク機構と呼ばれる。…

【リンク装置】より

…いくつかの剛体をピンなどで結合して相対運動が可能なようにした機械部品の組合せは,身の回りにも広く利用されている。ミシンの踏板の動きが針に伝えられて針に上下運動をさせたり,自転車のブレーキレバーの動きがブレーキシューやブレーキ帯の動きに伝えられるのも,すべてこのような剛体(細長い棒の形が多い)が連結された機構の利用によるものである。この例のように,数個の剛体を回転自在のピンで結合して,各部分の動きと位置が一義的に決まるような運動(これを拘束された相対運動という)を行うようにした機構を一般にリンク装置またはリンク機構といい,その構成要素をリンクあるいは節と呼ぶ。…

※「梃子」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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