及かじ（読み）しかじ

精選版 日本国語大辞典

しか‐じ【不如・不若・不及】

1. 〘 連語 〙 ( 動詞「しく（及）」の未然形「しか」に、打消推量の助動詞「じ」の付いたもの )
2. ① ( 「…にしかじ」「…にはしかじ」などの形で ) 及ばないであろう。…にこしたことはないであろう。
   1. [初出の実例]「埃累の間に纏はれて、未だ寰区の表（外）に出でず、豈に、龍宮の秘せる旨、鷲嶺の微(くわ)しき詞の群迷を沙界に導き交喪を塵劫に庇(かく)さむには若(シカジ)」(出典：大唐三蔵玄奘法師表啓平安初期点（850頃）)
   2. 「我ならぬ人もさぞみんなが月のありあけの月にしかじあはれは」(出典：和泉式部日記（１１Ｃ前）)
3. ② 副詞的に用いる。
   1. (イ) むしろ。いっそのこと。
      1. [初出の実例]「ながいきして人ににくまれむよりは、しかし功徳をつくりてはやくしなむにはと思て」(出典：観智院本三宝絵（984）中)
   2. (ロ) たしかに。たしかにそうだ。
      1. [初出の実例]「此程の御心遣ひ外に聞にはあらず、しかじ申かはせし事慥(たしか)ならね共」(出典：浮世草子・男色大鑑（1687）四)

出典　精選版 日本国語大辞典