反日運動[東南アジア](読み)はんにちうんどう[とうなんアジア]

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「反日運動[東南アジア]」の意味・わかりやすい解説

反日運動[東南アジア]
はんにちうんどう[とうなんアジア]

1960年代後半から 70年代にかけての東南アジアに対する日本の急速な経済進出に対する批判運動。 1972年秋のタイにおける日貨排斥運動に始った反日運動は,74年1月の田中角栄首相の東南アジア訪問の際のジャカルタ反日暴動やタイにおける激しい抗議運動で頂点に達した。これら東南アジアにおける反日運動の背景としては,(1) 貿易不均衡,資源収奪,公害輸出など日本企業へのマイナス・イメージ,(2) 日本企業と現地特権階級,華僑などとの癒着による腐敗横行,(3) 日本人,日本企業の傲慢さや閉鎖性への現地住民の不満,(4) 例外的繁栄を誇る日本への反感,(5) 第2次世界大戦時における日本軍の蛮行の記憶,(6) 現地政府部内の権力抗争など,多様な要因がひそんでいると指摘された。これらの批判にこたえて,より対等な友好関係を樹立すべく提示された新たな対東南アジア政策が,77年のいわゆる「福田ドクトリン」である。

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