反転二重項(読み)ハンテンニジュウコウ

化学辞典 第2版 「反転二重項」の解説

反転二重項
ハンテンニジュウコウ
inversion doublet

分子反転運動によって対掌体に移行しうる場合に見られる振動準位分裂,ないしはそれにもとづくスペクトル線の分裂をいう.量子力学的なトンネル効果によるもので,古典的には反転が起こらない準位についても分裂は生じる.アンモニア分子に見られる反転二重項はとくによく知られており,振動スペクトルの全対称振動2に約30 cm-1 の分裂が見られるばかりでなく,振動基底状態の0.8 cm-1 の分裂がマイクロ波スペクトルで観測されている.この分裂はビームメーザーの最初の発振に使われた歴史をもつ.そのほか,ヒドラジンメチルアミンアニリンにも反転二重項があることが知られている.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

今日のキーワード

排外主義

外国人や外国の思想・文物・生活様式などを嫌ってしりぞけようとする考え方や立場。[類語]排他的・閉鎖的・人種主義・レイシズム・自己中・排斥・不寛容・村八分・擯斥ひんせき・疎外・爪弾き・指弾・排撃・仲間外...

排外主義の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android