反転二重項(読み)ハンテンニジュウコウ

化学辞典 第2版 「反転二重項」の解説

反転二重項
ハンテンニジュウコウ
inversion doublet

分子反転運動によって対掌体に移行しうる場合に見られる振動準位分裂,ないしはそれにもとづくスペクトル線の分裂をいう.量子力学的なトンネル効果によるもので,古典的には反転が起こらない準位についても分裂は生じる.アンモニア分子に見られる反転二重項はとくによく知られており,振動スペクトルの全対称振動2に約30 cm-1 の分裂が見られるばかりでなく,振動基底状態の0.8 cm-1 の分裂がマイクロ波スペクトルで観測されている.この分裂はビームメーザーの最初の発振に使われた歴史をもつ.そのほか,ヒドラジンメチルアミンアニリンにも反転二重項があることが知られている.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

今日のキーワード

排他的経済水域

略称 EEZ。沿岸国が水産資源や海底鉱物資源などについて排他的管轄権を行使しうる水域。領海を越えてこれに接続する区域で,領海基線から 200カイリの範囲をいう。沿岸国は,水中ならびに海底と地下の天然資...

排他的経済水域の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android