大学事典 「収益率分析」の解説
収益率分析
しゅうえきりつぶんせき
収益率分析における収益率とは,教育を通じた人的資本への投資の効率性を測定する指標である。教育を投資として考えた場合,投資費用としては授業料などの直接費用と,教育機関に在籍する間に放棄している,労働に従事していれば得られたであろう賃金としての間接費用がある。一方,収益は,教育投資を行うことによって労働生産性が高まった結果として生涯にわたっての賃金の上昇分に該当する。投資費用と便益両者の比較にあたって,それぞれ発生タイミングがずれており,それぞれの現在価値について考慮する必要がある。そこで,ある一定の利率で費用,便益とも割り引いた値を比較する方法が現在価値法である。これは想定される利率によって結果が変わってくるが,費用と便益の現在価値が等しくなる利率が,教育投資の効率性の指標として収益率と呼ばれている。なお収益率の算出方法にはエラボレイト法とミンサー型所得関数法がある。
著者: 島一則
出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報