口永(読み)クチエイ

デジタル大辞泉 「口永」の意味・読み・例文・類語

くち‐えい【口永】

江戸時代金納貢租に付加された税。本租100文に対して3文を定率とし、銀で納めるものを口銀くちぎん、銭で納めるものを口銭くちせんといった。→口米くちまい

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精選版 日本国語大辞典 「口永」の意味・読み・例文・類語

くち‐えい【口永】

  1. 〘 名詞 〙 江戸時代、金納の貢租に付加された銭、または銀。本租永一貫文に対して三〇文を定率とした。銀納の場合を口銀(くちぎん)銭納の場合を口銭(くちせん)といった。
    1. [初出の実例]「畑方口永之儀、永一貫文に付三十文之余被取立候も有之由」(出典徳川禁令考‐前集・第四・巻三五・享保五年(1720)八月)

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世界大百科事典(旧版)内の口永の言及

【口米】より

…鎌倉末期には田地面積に応じて賦課する口籾(くちもみ)がみられたが,豊臣秀吉は1586年(天正14)直轄地にたいし年貢高1石につき2升の口米を課した。江戸幕府では,直轄地のうち関東で年貢米1俵(3斗5升入り)につき1升,永納(えいのう)の場合は永100文につき3文(これを口永(くちえい)という),西国では1石につき3升と定めたが,なお地方によって多少の異同もみられる。江戸幕府の初期には,口米,口永はもっぱら代官所経費として,役人給金,筆墨紙代など使途は代官にまかされていた。…

※「口永」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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