口銭(読み)コウセン

デジタル大辞泉 「口銭」の意味・読み・例文・類語

こう‐せん【口銭】

売買仲介をした場合の手数料コミッション。「二割口銭を取る」
くちせん2」に同じ。
[類語]料金代金勘定会計支払い精算愛想あいそ愛想あいそお代清算決済代価手数料月謝有料対価手間賃賃金使用料送料倉敷料原稿料入場料木戸銭授業料湯銭運賃借り賃貸し賃宿賃店賃たなちん家賃間代部屋代室料席料席代下宿代場所代場代地代

くち‐せん【口銭】

銭納による口永くちえい
江戸時代問屋荷主買い主から徴収した仲介手数料運送料保管料。こうせん。

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精選版 日本国語大辞典 「口銭」の意味・読み・例文・類語

こう‐せん【口銭】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 江戸時代、問屋、仲買が生産者や荷主から徴収する手数料をいう。運送料、保管料、仲介手数料、資本利子、危険負担に対する報酬の意味をもつ。「くちせん」「くちぜに」とも称した。
    1. [初出の実例]「思ひのままにとるは口銭 国を治め本意達(たつす)る陶朱公〈還跡〉」(出典:俳諧・鷹筑波(1638)五)
  3. 売買のなかだちをした手数料。コミッション。
    1. [初出の実例]「外国館へ断りて一切此口銭を出さぬ訳に議定して」(出典:いろは新聞‐明治一五年(1882)一月一七日)
  4. 人数に応じて課せられる税金。口前(くちまえ)。〔漢書‐貢禹伝〕

くち‐せん【口銭】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 江戸時代、年貢が金銀銭で納められる場合に付加税として徴収された銭。一貫文につき三十文の割で徴収され、はじめは代官が収納して役所の費用にあてたが、享保一〇年(一七二五)以降は幕府に収められた。口永(くちえい)。くちぜに。
    1. [初出の実例]「思ひのままにとるは口銭 国を治め本意達る陶朱公(たうしゅこう)〈還跡〉」(出典:俳諧・鷹筑波(1638)五)
  3. 商業取引で、仲介した商人の得る報酬。こうせん。
  4. 中世末から近世、船舶が入港する際に支払う料金。または、関税

くち‐ぜに【口銭】

  1. 〘 名詞 〙くちせん(口銭)

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普及版 字通 「口銭」の読み・字形・画数・意味

【口銭】こうせん

人頭税。〔漢旧儀〕民生れて七より、以て十四に至るまで、口錢を出だすこと人ごとに二十三、以て天子に供す。其の三には、武口錢を加へ、以て車騎馬を補ふ。

字通「口」の項目を見る

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「口銭」の意味・わかりやすい解説

口銭(こうせん)
こうせん

「くちせん」とも読む。

(1)一般には商業利潤のこと。中世には問丸(といまる)の得分をさしたが、江戸時代に問屋(といや)制度が確立すると、販売上の仲介手数料のほかに、当時の問屋は運送や保管を行ったので、それらの諸掛りをも含めて口銭とよび、荷主や買い主から徴収した。その後、江戸後期には口銭の内容も変化して、問屋が融通する資本の利子的要素をもつようになった。

(2)年貢の付加税の一種で口永(くちえい)のことをさす。金納の本租100文に対し3文を納めるものとされた。「くちぜに」とも読む。

[土肥鑑高]


口銭(くちせん)
くちせん

口銭

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「口銭」の意味・わかりやすい解説

口銭
こうせん

「くちせん」「くちぜに」とも読む。江戸時代の商業利潤。中世の問丸における問米,問銭,問丸得分などが,近世問屋の発展につれて口銭と呼ばれるようになった。その内容には仲介手数料,運賃,保管料が含まれる。また中世末から近世には口銭は付加税の意にも用いられた。それは (1) 金納の本租の付加税で,銭をもって納めるもの (銀をもって納めるものは口銀,米をもって納めるものは口米) ,(2) 相場会所に課された売買税,(3) 中世の目銭 (めぜに,もくせん) に由来するという,入津料または関税,の意に用いられた。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「口銭」の解説

口銭
こうせん

近世の取引上の手数料。荷受問屋は荷主から仲買への商品売買の仲介をする際,荷主への前貸金の利息とともに,荷主・仲買の双方から売捌価格に対して一定の割合で手数料を得る。この手数料が口銭である。口銭の割合は問屋仲間によって個別にきめられ,京都の糸絹問屋の場合は荷主と仲買の双方から売値の1%ずつ,あわせて2%の口銭,大坂の綿問屋では荷主から1.3%の口銭をとった。江戸では仕入問屋が多かったが,下り酒問屋は荷受問屋で,摂津国灘の荷主から3%の口銭を徴収した。

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