こう‐せん【口銭】
〘名〙
※俳諧・鷹筑波(1638)五「思ひのままにとるは口銭 国を治め本意達(たつす)る陶朱公〈還跡〉」
※
いろは新聞‐明治一五年(1882)一月一七日「外国館へ断りて一切此口銭を出さぬ訳に
議定して」
③
人数に応じて課せられる
税金。口前
(くちまえ)。〔
漢書‐貢禹伝〕
くち‐せん【口銭】
〘名〙
①
江戸時代、
年貢が金銀銭で納められる場合に
付加税として徴収された銭。一貫文につき三十文の割で徴収され、はじめは
代官が収納して
役所の費用にあてたが、享保一〇年(
一七二五)以降は
幕府に収められた。口永
(くちえい)。くちぜに。
※俳諧・鷹筑波(1638)五「思ひのままにとるは口銭 国を治め本意達る陶朱公(たうしゅこう)〈還跡〉」
② 商業取引で、
仲介した
商人の得る報酬。こうせん。
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デジタル大辞泉
「口銭」の意味・読み・例文・類語
くち‐せん【口銭】
1 銭納による口永。
2 江戸時代、問屋が荷主や買い主から徴収した仲介手数料・運送料・保管料。こうせん。
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普及版 字通
「口銭」の読み・字形・画数・意味
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口銭
こうせん
「くちせん」「くちぜに」とも読む。江戸時代の商業利潤。中世の問丸における問米,問銭,問丸得分などが,近世問屋の発展につれて口銭と呼ばれるようになった。その内容には仲介手数料,運賃,保管料が含まれる。また中世末から近世には口銭は付加税の意にも用いられた。それは (1) 金納の本租の付加税で,銭をもって納めるもの (銀をもって納めるものは口銀,米をもって納めるものは口米) ,(2) 相場会所に課された売買税,(3) 中世の目銭 (めぜに,もくせん) に由来するという,入津料または関税,の意に用いられた。
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口銭
こうせん
近世の取引上の手数料。荷受問屋は荷主から仲買への商品売買の仲介をする際,荷主への前貸金の利息とともに,荷主・仲買の双方から売捌価格に対して一定の割合で手数料を得る。この手数料が口銭である。口銭の割合は問屋仲間によって個別にきめられ,京都の糸絹問屋の場合は荷主と仲買の双方から売値の1%ずつ,あわせて2%の口銭,大坂の綿問屋では荷主から1.3%の口銭をとった。江戸では仕入問屋が多かったが,下り酒問屋は荷受問屋で,摂津国灘の荷主から3%の口銭を徴収した。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報