貨幣で租税を納めること。租税は、鎌倉時代以前においては物品の貢納が主であったが、鎌倉・室町時代には田租(でんそ)は穀納とともに銭納が行われるようになり、臨時の支出にあてる段銭(たんせん)・棟別銭(むねべつせん)などにも銭納が行われている。江戸時代においては田畑の貢租は米納が原則とされていたが、貨幣経済の進展に伴い、米のかわりに貨幣をもって納付する石代納(こくだいのう)が行われ、さらに小物成(こものなり)については、より広く貨幣納化が進められていた。幕府は米納を維持し、石代納を制限する方策をとったが、貨幣納化の趨勢(すうせい)を止めえなかった。1873年(明治6)から開始された地租改正により、旧貢租の物納制は廃止され、雑税が整理統合されて地租が租税の中心となった。地租納入については、地価を課税基準とし、地価100分の3の税率による金納が行われることとなった(ただし地主に払う小作料は物納)。地租金納化は近代財政制度の確立のうえに重要な意義をもつものであったが、当時農家経済が十分に貨幣経済化していなかったため、小農民の没落など多くの問題が生ずることとなった。
[伝田 功]
…貨幣以外の物の形で税を支払うことを税の物納という。比較的最近では,江戸時代の米納が物納の例としてあげられるが,明治時代にはいり金納に代わり今日にいたっている。 日本では今日,物納の認められているのは相続税のみである(相続税法41条)。…
※「金納」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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