国指定史跡ガイド 「古月横穴」の解説
ふるつきよこあな【古月横穴】
福岡県鞍手郡鞍手町古門にある横穴。遠賀(おんが)川に注ぐ西川の西岸、島状の第3紀層黄色土層からなる丘陵の斜面に所在する横穴墓群。1926年(大正15)に発見され、1932年(昭和7)の国史跡指定までに13基、その後の調査で東、西、南の3斜面に、指定時の13基を含む41基が確認され、1986年(昭和61)に追加指定された。丘陵の硬い岩盤を洞窟状に掘り込んで造られた墓で、6世紀後半から7世紀後半のおよそ100年間にわたって地元有力者の一族の墓として築かれたものと考えられている。古月横穴は横穴墓には珍しく、墓内部の壁面に装飾文様があり、赤色顔料で幾何学文が描かれているものが1基、格子状の線刻文様のあるものが2基現存。横穴の入り口に庇石(ひさしいし)をもつものや、墓室の広さに大小の差があるなど、構築方法に時代ごとの流行があったと推定できる。ほぼすべての墓から土師器(はじき)や須恵器(すえき)、鉄刀、馬具、耳環などの副葬品が出土。現在は整備がなされ、丘陵を一巡して見学できる。鞍手町歴史民俗資料館に遺物を展示保存。JR鹿児島本線遠賀川駅から西鉄バス「石堀場」下車、徒歩約10分。