改訂新版 世界大百科事典 「古瀬戸内」の意味・わかりやすい解説
古瀬戸内 (こせとうち)
第三紀中新世以後,西南日本の中央部を東西に縦断して低地が形成され,ここに海が浸入した。この低地を古瀬戸内,あるいは瀬戸内区という。海が存在したのは,中新世中期初頭(1500万~1600万年前)と,鮮新世中ごろ(300万年前)以後現在までの2回である。前の時期を第一瀬戸内期,後を第二瀬戸内期という。現在の瀬戸内海は第二瀬戸内期の海の続きである。第一瀬戸内期の海は,長野県南部から濃尾平野,奈良盆地などを経て岡山・広島県北部に続き,伊勢湾付近および紀伊水道付近で太平洋と,また西端付近で日本海に接続していた。この後1100万年前ごろにはこの地域に火山活動があった。第二瀬戸内期に海が浸入したのは大阪湾以西の現在の瀬戸内海地域で,この時期には氷河性海面変動のため,10回以上の海進・海退が記録されている。また当時大きな内陸湖が形成され,その一つに現在の伊賀・近江盆地をつなぐ古琵琶湖があった。一方,古瀬戸内区の東半部では,約100万年前から始まった六甲変動と呼ばれる地殻変動のため,古瀬戸内区を分断するような山地と盆地の列が形成されて現在に至っている。
執筆者:鎮西 清高
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報