可愛そう・可哀想(読み)かわいそう

精選版 日本国語大辞典 「可愛そう・可哀想」の意味・読み・例文・類語

かわい‐そう かはいさう【可愛そう・可哀想】

〘形動〙 (「そう」は接尾語) あわれで、人の同情をさそうようなさま。ふびんなさま。かわゆそう。かあいそう。
※天理本狂言・蟹山伏(室町末‐近世初)「『こんがう杖でこうを打みしゃいでのけう』と云『かわひさうにおけ』と云」
滑稽本浮世風呂(1809‐13)二「可哀(カハイ)さうなものはあの婆さんさ」
[語誌]中世末から近世初頭にかけて成立した語。「かわいい」の成立当時の意味からすると、不憫なさま、愛らしいさま、両方の意が考えられるが、後者の意は「かはゆさう」という古い語形と方言に残るだけで、もっぱら不憫なさまの意で用いられる。これは、「かわいい」の意味の中心が不憫から愛らしいの意に移行し、消失しつつあった不憫の意を「かわいそう」が担ったためである。表記も「可愛そう」から「可哀想」などと変化している。→かわゆい(可愛)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android