近世兵学の一流派で、船軍術と火薬術にその特色がある。流祖森重靭負都由(もりしげゆきえくによし)(1759―1816)は周防国(すおうのくに)末武(すえたけ)(山口県下松(くだまつ)市)の人で、初め安盛(あさか)流、中島流などの砲術を学び、ついで紀州藩士橋爪万右衛門維成(はしづめまんえもんこれなり)の始めた兵学、橋爪流合武伝法(ごうぶでんぽう)(合武流)、および中世瀬戸内海賊として活躍した能島(のしま)・因島(いんのしま)・来島(くるしま)3島の村上水軍の海戦術を集成した古術(こじゅつ)三島流を修め、これらに甲州流、越後(えちご)流などの兵学を加味して、1795年(寛政7)『合武三島流船戦要法(せんせんようほう)』を編述し、これを根本伝書として一流をたて、江戸で教授した。入門者は相次ぎ、1803年(享和3)幕府に認められて御書院組与力に登用された。なお砲術の分野では森重(もりしげ)流を称した。
[渡邉一郎]
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