合銭(読み)あいぜに

改訂新版 世界大百科事典 「合銭」の意味・わかりやすい解説

合銭 (あいぜに)

室町時代,おもに金融業者である土倉酒屋などが,諸人から借り集めた銭。業者はその銭をさらに高利で他に貸し付け利ざやを収めるなど,営業回転資金としていたのであろう。初見は1430年(永享2)で《満済准后日記》に〈八幡土蔵合銭〉とみえる。無利子預金である〈預銭〉と異なり,合銭には利子が支払われた。このため徳政令の対象として問題となった。57年(長禄1)11月京都に土一揆が起こり,徳政を要求したのに対し,幕府は12月5日一般に徳政を禁止し,債権を公認する趣旨法令を発布した。しかしこのとき諸土倉・酒屋・日銭屋等の合銭に限っては,債務を破棄する方向での法文を載せたが,これは土倉・酒屋などが一般的には債権者であるのに,合銭の場合には債務者の立場にあることを考慮したためにほかならず,この法令が土一揆活動期における金融業者保護政策の現れであることを示している。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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